FRESH ACTRESS 華村あすか
PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志
鮮烈なグラビアデビューに続いて
ドラマ2作のヒロインで女優デビュー
――山形出身ということですが、高校時代はどんなふうに過ごしてました?
「部活でバスケをやっていて、基本休みがなくて、たまの休みは友だちと映画館に行ったりとか、本当に普通でした。地元は田舎で、お洋服を売ってるお店もショッピングモールもなくて。山形(市)まで行くには電車で1時間かかるし、本当に映画を観るくらいしかなかったです」。
――東京の女子高生みたいに、放課後に遊んだりはしてなかったんですね。
「なかったです。バスケの練習が終わると夜8時とかで、電車が1時間に1本しかないから8時台の最後に乗って、家に着くのが9時過ぎ。遊ぶ時間は全然ありませんでした」。
――バスケはかなり打ち込んでいたんですか?
「小4からずっとやってました。公立で強くも弱くもないチームでしたけど。中学まではセンターで、高校ではガード以外の全ポジションをやりました」。
――勉強も頑張っていたんですか? CAを目指していて、英語が得意だそうですが……。
「それなりにやってました。総合学科で300教科くらいから自分で選択するんですけど、私は英語をメインでほとんど取って、あとは国際理解に世界史に数学を少し……という感じでした」。
――そんな普通の高校生が上京してスカウトされて、いきなり自分が表紙の雑誌がコンビニとかに並んでいるのを見たときは、どんな気持ちになりました?
「発売日にコンビ二に行ったら、本当に並んでいたから『エッ? エッ?』って、すぐには受け止められなかったです。不思議な感じというか……信じられませんでした」。
――もともと芸能界に興味なかったそうですが、ドラマは観ていたんですか?
「部活で帰りが遅かったので、なかなかオンタイムでは観られなかったんですけど、録画とかで観てはいました。『科捜研の女』とか『ドクターX』とか『コード・ブルー』が好きでしたね」。
――医療モノが好きなんですか?
「そうなんです! 今やっている『ブラックペアン』もどハマりしてます。でも、特に好きなのは『科捜研の女』。おばあちゃんの影響かな(笑)。学校のみんながよく観るラブストーリーより、渋いドラマを結構観てました」。
――でも、「自分もやってみたい」とは考えず?
「手の届かない世界だと思ってました。学芸会ではお芝居したことがあります。中2、中3と出て、中2のときは『ネズミの学校』というお話で、生徒が全員ネズミの学園モノでした(笑)。私はただうるさい生徒役。学芸会はダンスか歌か楽器かお芝居をやらないといけなかったので、その中ならお芝居かなとなりました」。
――「主役をやりたい」とは思いませんでした?
「友だちと2人で『やろう』と言ってました。でも、先生に『オマエたちには無理』と言われて(笑)、学級委員の子がやりました」。
――その学芸会の映像は、あすかさんが売れっ子女優になってバラエティに出たときに、お宝として流されそう。
「お母さんが撮っていたと思いますけど、めっちゃ恥ずかしい……。ネズミの役でチューチュー言ってましたから(笑)」。
――仕事に賭けるために大学をやめて、演技レッスンもあまり受けてないまま、春クールのドラマ2本でヒロインに抜擢。「宮本から君へ」では主役で演技派の池松壮亮さんとの掛け合いが多いので、プレッシャーはありませんでした?
「最初の現場ではすごく緊張しました。池松さんの出演された作品は学生の頃によく観ていたので、一緒にお仕事させていただくことを『現実なのかな……?』と思ったり。最初に撮ったのが、通勤途中に女の子がカバンから落としたたくさんの鉛筆を宮本と一緒に拾うシーンで、自分で観て『堅いなー』と思いました。動きがロボットみたいで(笑)。でも、次の現場からは緊張しなくなりました」。
――そんなにすぐ順応できたんですか。
「自分が本当にドラマの現場にいることを実感できて、池松さんとの掛け合いもプレッシャーより、『自分も応えられる演技をしなきゃ』という気持ちになりました。もちろんまだ全然力不足でしたけど、池松さんの演技に引っ張ってもらいました」。
――あすかさんが演じた甲田美沙子は自動車会社の受付嬢で、池松さんが演じる宮本浩が通勤の駅のホームでひと目惚れ。あすかさんも電車通学をしていたなら、男子の視線を感じた経験は多々あるのでは?
「なかったです。部活の朝練があってほぼ始発で、学生が全然乗ってない時間帯だったんです。おじいちゃん、おばあちゃんしかいませんでしたから(笑)」。
――ドラマの序盤は宮本目線だと夢のようでした。あんな美人と毎朝一緒に通勤なんて……。あすかさんが普通にしていれば高嶺の花感は出るでしょうけど、宮本を魅了する女性に見えるように意識したことはありました?
「甲田美沙子は自分と正反対なので、かわいらしさをどう表現するかを考えて、でも、なかなかできませんでした。一番苦戦したのは、宮本に誕生日のプレゼントを渡すシーンだったと思います。歩き方や動作からかわいい感じにして、上目づかいもやったことがないから、最初はすごくぎこちなくて……。監督にアドバイスされながら、角度まで気をつけました」。
――あそこも宮本目線だとたまらないものがありました(笑)。
「カットがかかってから素で赤面してしまって、監督に『ちょっと待って!』と驚かれました(笑)。『別にいいんだけど、本当に赤面するんだ。珍しいね』って。プレゼントを渡したことはなかったので、素で恥ずかしくなっちゃったみたいです」。
――あすかさんが甲田美沙子と「正反対」というのは……。
「私はあまり女の子っぽくないので。高校でクラスに男子は少なかったんですけど、私は恋愛対象に見られないんですよ」。
――それは……どうですかね(笑)?
「性格が抜けていて、普通に話していたら『頭、大丈夫?』って、よく言われます」。
――いわゆる天然さん?
「天然と言われますけど、自分では純粋に話しているだけなので『天然じゃないから、やめて!』と言ってます。行動もヘンだと言われてました」。
――たとえば、どんな行動をして?
「よくわからないんですけど、授業中にポカーンと口が開いていたらしくて(笑)。家でもテレビを観ていると、お母さんによく『口が開いてる』と言われました。ボーッとするというより、逆に集中すると口元が緩むみたいです(笑)」。
役の気持ちに自然に入れて
涙もホロッと出てきました
――「宮本から君へ」で、甲田美沙子が通勤電車の中で宮本を「仕事サボってどこかに行きません?」と誘って2人で海に行ったところは、サラリーマン的には妄想が叶ったような……。
「普通はそんなこと言わないじゃないですか。でも、甲田美沙子だから言える。そこは彼女の気持ちになり切りました」。
――海辺で「つき合ってた人に捨てられちゃった」と宮本に打ち明けて、後には「宮本さんに逃げ込むから」という台詞もありましたが、その辺の甲田美沙子の心情はどう思いました?
「宮本側から観ている方にしたら『いやいや!』となるかもしれませんよね。でも、友だちにいろいろ話を聞いても、女性って落ち込んでいるときにやさしくされると弱いじゃないですか。だから、あそこは女性の弱い部分がすごく出ていて、私自身にもわかる気持ちではありました」。
――たぶん甲田美沙子も逃げ場が誰でも良かったわけではなくて。
「そうだと思います。軽いノリの男性だったら、絶対あんなことは言わないはずで、あれだけ真っすぐな宮本だからこそ、頼りたくなったんだと思います」。
――結局、甲田美沙子は元カレとヨリを戻して、宮本はフラれる形になって……。
「そうですね。そうなっちゃうんだな……と」。
――けじめをつけに甲田美沙子の会社に来た宮本に受付嬢として対応して、お互い涙で「さようなら。ありがとうございました」と言うシーンは、何とも言えない気持ちになりました。
「あの撮影のとき、カメラが回る前に監督がササッと来て『原作の甲田美沙子を越えてくれ』と言われたんです。それもあって、より気持ちが入りました。罪悪感もあっただろうし、気まずいですよね。目を合わせなかったから、宮本が上を向いて涙をこらえているところは見えなかったけど、息の荒さが伝わってきて、自分もウルッとなりました」。
――気持ちはスッと役に入れたんですか? 初演技から“泣けない”ということもなく?
「そういうことはなかったです。砂浜のシーンのときも、監督が『この場面は大事にしたい』とおっしゃって、プレッシャーはありましたけど、カメラが回ったら自然に気持ちが入って、ホロッときてました」。
――いわゆる女優体質なんですね。
「どうでしょう? そうだったらいいんですけど」。
――新人ながら池松さんと渡り合っていてすごいと思いましたが、普段も感情の波はあるほうですか?
「それはあります。昔から涙もろくて。最近だと、ヘンな話ですけど、部屋でごはんを食べていたら、網戸から小さい虫が入ってきたんですよ。その虫がすごく弱っていて飛べない状態で、必死に飛ぼうとしているのを見てたら、涙が出てきました(笑)。とりあえずその虫をベランダに置いて、時間が経ってから見に行ったら、まだ飛んでなくて……。『この子はもうダメなんだ……』と思ったら、もっと泣けてきちゃって、カーテンを閉めました。次の日の朝に見たら、いなくなっていたので、たぶん風に飛ばされちゃったんじゃないかと……」。
――そんな虫のことで泣けるとは、やさしいんでしょうね。
「でも、自分で『ヘンだな』と思いました(笑)。いろいろな感情になりますけど、怒ることはあまりないです。ケンカもしたことないし、何か言われたらチーンとなって言い返せないタイプなんです。逆に、うれしいときは全面に出します」。
――最近でうれしかったことというと?
「この前、1人でカラオケに行ったんですよ。気晴らしとボイストレーニングの練習を兼ねて。それで絢香さんの『おかえり』を熱唱したら、92点が取れたんです! すごく舞い上がってワーッと喜んでいて、よく考えたら『1人だった……』という(笑)」。
――やっぱりあすかさん、面白いですね(笑)。さっきのクラスメイトの人の話がわかるような……。それで、歌も得意なんですね。
「点数が良かったのはその1回だけで、あとは全部80点くらいをさまよってました(笑)。声が低くて『ハスキーっぽい』と言われて、本当は絢香さんみたいに高いキーは歌えないんです」。
――ドラマの話に戻ると、役の気持ちに入りやすいということで、初演技でもそこまで悩むことはなかったり?
「いや、ずっと悩んでました。甲田美沙子ではなくて素の自分になってないか、最後の最後まで不安でした」。
――ラブホテルに宮本を強く誘うところはどうでした? 「私がどれだけ恥ずかしいことをしているか見えてるの?」などと必死でしたが……。
「あそこは何テイクも撮りました。感情の高ぶりが出るまで、監督に『もっとできる!』『もっと!』と言われながら。甲田美沙子はあれを勇気を出して言っていたわけではなくて、自分の感情のままだったんだと考えると、やっぱりすごいと思います」。
――グラビアに続きドラマもいきなりの抜擢でしたが、現場に立ってこそ学べたことや見つかった課題も多かったのでは?
「自分でオンエアを観ると、台詞はいまだにイントネーションが違うし、それ以上に動作が難しかったです。台詞をちゃんと言ったとしても、立ってるだけとかではなく、振る舞いにも気持ちを乗せられていたら、もっと甲田美沙子の雰囲気を出せたんじゃないかと悔やんでいます。池松さんはただ歩くだけでも、しっかり宮本を演じられてました。私は最初の通勤シーンとか、台詞を言うのにいっぱいいっぱいで、スタスタ歩いていただけ。ああいうところでもちゃんとキャラクターらしさを出すことが、課題だと思いました」。
――プライベートでの東京生活にはすっかり慣れた感じですか?
「もう慣れましたね。最初は渋谷の地下鉄とか全然わからなくて、1時間くらいさまよったこともありましたけど、今は調べなくてもわかります。かと言って、あまり外出はしないんですけど」。
――インドア派なんですか?
「というより、お出かけがあまり好きじゃなくて、基本家にいて筋トレするか、録り溜めたドラマをずーっと観ています。おいしいお店に食べに行くとか、目的がなければ動きません」。
――こじゃれたレストランに行ったりはすると?
「そういうのではなくて、この前は飯田橋の餃子屋さんに行きました。レパートリーがすごくて、明太子チーズ餃子とかいろいろあって、そういうのを食べに行きます」。
――庶民派なんですね。
「全然庶民派です(笑)。牛丼屋さんでもどこでも、1人で入れるタイプです」。
――あと、筋トレもしていると。
「最近はジムに通ってます。今までおしゃれにこだわってなかったんですね。高校のときも部活をやっていたこともあって、だいたいジャージだったんです。今は私服もいろいろ意識しないといけなくて、着るなら体もある程度整えてないと、服がかわいそうだなと思って。あと、グラビアのお仕事もいつ入るかわからないので、常にいつ入ってもいいようにしています」。
――プロ意識ですね。夜9時以降は食べない、とかも?
「6時以降は食べません。お腹がすいたら豆乳を飲むか、バナナかはんぺんを食べるか、そんな感じです」。
――これから10代最後の夏を迎えますが……。
「そうか……。『だから何かしよう』というのはないです。むしろ早く20歳になりたくて……。『大人になったらこれをしたい』というのも別にありません。ただ、『まだ子どもだしな……』とかいろいろ考えてしまうので、20歳になれば気持ちが変わるんじゃないかと思ってます。そういう意味で、早く大人になりたいです」。
華村あすか(はなむら・あすか)
生年月日:1999年3月18日(19歳)
出身地:山形県
血液型:A型
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2017年8月発売の「週刊プレイボーイ」(集英社)での表紙・巻頭グラビアでデビュー。「ヤングジャンプ」(集英社)、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)などでも表紙を飾っている。女優デビュー作の「宮本から君へ」(テレビ東京系/金曜24:52~ ほか)、「ボイメン新世紀 祭戦士ワッショイダー」(CBC/木曜25:29~ ほか)にヒロイン役で出演。
詳しい情報は公式HP
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