PICK UP ACTRESS 森川葵
PHOTO=城方雅孝 HAIR&MAKE=牧田健史
STYLING=武久真理江 INTERVIEW=斉藤貴志
衣装協力=RBTXCO
「賭ケグルイ」でJKギャンブラー役
女王様気質で目を見開きヘン顔を全開
――「賭ケグルイ」はもともとアニメで観ていたそうですね。
「アニメがとても好きなので、だいたいの作品の1話は観るんです。『賭ケグルイ』は面白くて、ずっと観てました。賭けてる金額が常識では考えられなくて、初めはついていけなかったんですけど(笑)」。
――億単位まで行ってましたから。
「でも自分とはかけ離れすぎていて、逆に気になってしまうというか、観ているうちにどんどん引き込まれました」。
――ギャンブルにのめり込むキャラクターたちをどう見ていたんですか?
「すごく面白いなと思いました。それぞれ個性が強くて、みんな賭けごとが好きだけど、人間らしい部分もあってかわいいのが魅力的だなと思って見てました」。
――そして、ドラマで自分が早乙女芽亜里を演じることに。
「『おーっ! マジか!?』となりました(笑)。ヘン顔が度を越していたり、お嬢様キャラだけど自分が負けたときの崩壊ぶりとの波がすごくある女の子で、“これを実写でやるのか”と思いました」。
――実際、森川さんの顔芸はアニメキャラに劣りませんでした。1話冒頭の鈴井涼太(高杉真宙)に勝って「これからい~っぱいかわいがってあげる」とかニヤついて絡むところは、思い切りイヤな感じにしたような?
「とにかくドラマの始まりなので、そこで世界観を見せながら、嫌らしい感じにしたいと思ってました。それで、ああいうふうにすごく溜めての『ポ~~~チ』にしました」。
――本当に涼太をポチ扱いして跪いたときの背中に脚を乗せたりしていましたが、女王様な演技は良い気分なんですか(笑)?
「普段そんなにキメキメで台詞を言ったりすることがないので、いつものお芝居とは違うのが面白かったというか、新しい感覚で楽しいというのはありました」。
――主人公の蛇喰夢子(浜辺美波)との勝負の最中、心の声としてイカサマの手口を語りながら「バーカ!」とかなじるところは、試行錯誤もありました?
「ありましたね。あの長い台詞をワンカットでバーッと撮っていったので、芽亜里のキャラクターを保ちつつ動き回るのがすごく難しかったです。動けば動くほど原作と離れたり、素も出てきて役と遠ざかってしまう気がして、演じ方を任せていただけたのはうれしいし楽しいんですけど、大変ではありました」。
――目をすごく見開いてました。
「開けられる限り開けました。出来上がった映像を観て、自分で『目が落ちそう!』と思いましたから(笑)。あんなに目をカッ開いたこともないですし、いろいろヘン顔をして、普段使わない表情筋がすごく鍛えられた気がします(笑)」。
――笑い方も何か意識したんですか?
「台本に『うっひっひっひ』と書いてあったんですよ。それで実際にお芝居の中で『うっひっひっひ』と笑ったら、台本を書いた監督に『本当にうっひっひっひと笑えるんだね』と言われて、『じゃあ、どういうつもりで書いたんですか?』とすごく思いました(笑)。でも、みんなにも『うっひっひっひと笑えるんだ』と言ってもらえたから、意外とイケてたのかな?」。
――夢子に負けて880万円の借金を背負ったときに、呆然としながらいろいろ口走っていたところは?
「負けてからはもう……。でも、台本に『ぐり……』とかは書いてあったんです。『ぐりって何ですか? あっ、無理っていうこと?』とか、監督と話しました」。
――英勉監督は森川さんについて「出来る子だと聞いてましたが、想像以上に出来る子だったので驚いてます」とコメントされてました。監督からの演出も何かあったんですか?
「細かい部分ではなかったんですけど、『見せつけてやって』と言われました。『テンションの持っていき方とかは全部任せるから、みんなのテンションを引っ張って上げていって』みたいな。自分がまず1話の投票ジャンケンのところでやり切って、そのあとに繋げていかなきゃ……というのは感じていました」。
――あのハイテンションにすぐ持っていけました?
「本読みのとき、『現場ではどうなるかわからないから、とりあえずどこまで出せるかやってみよう』とみんなで読んでいたら、その時点からテンションがかなり上がったんです。そこから下げちゃいけない。キープするか、さらに上を行くか……という形でした」。
――ヘン顔とかは観ていて笑ってしまいましたが、話自体はシリアスでコメディではないですよね。
「監督が言ってた気がしますけど、『コメディとしてやるのではなく、本気で必死にやってたら面白く見えるところを出していこう』ということだったので、みんなが必死にやった結果、何か笑えてしまうような形にもなったと思います。監督が現場でずーっと笑ってましたから、『今ので大丈夫なんだ』という安心感がありました」。
いつも役作りはしませんけど今回は
原作と台本を交互に読み続けました
――監督のおっしゃった「出来る子」というのは、女優としての森川さんをある意味言い当てていると思いますが、よく言われているような自然に役に憑依する感覚はあるんですか?
「うーん……。自然に……なんですかね?」。
――以前にうかがったときは「役作りはしない。台詞だけ覚えて現場に行く」とのことでしたが、それは今も変わりません?
「変わらないですね。でも今回は原作があったので、台本を読んだあとにアニメを観て、マンガを読んで、また台本を読んで……というのを、何回も何回も繰り返しました。それは役作りみたいなものなんですかね?」。
――今回はナチュラル系の演技とは違うと思いますが、芽亜里の心情がわかるところもあります?
「芽亜里はすごくお嬢様気質ですけど、実は普通に『友だちがほしい』とか思っていて、素直になれない女の子だと、私は勝手に考えていました。本当はすごく乙女。何かツンとしちゃうけど、内心ちょっと寂しいという部分は、よくわかりました」。
――夢子との勝負のシーンは、演技の中でも緊迫感はありました?
「ありました。こっちが発した言葉に対して、夢子はテンポよく返してこないんです。自分のペースがあるキャラクターで、そこを美波ちゃんがすごくうまくやってくるから、こっちのリズムを作りたいのに崩されてしまう。そこが面白かったです」。
――浜辺さんは「森川さんが場を盛り上げるお芝居をしてくれて自然にテンションが上がった」と話してました。森川さん自身はギャンブル的なものをすることは?
「ジュースじゃんけんくらいですかね」。
――宝くじを買おうとも思いません?
「思わないです。リスクは背負いたくなくて、地道にコツコツやるタイプかもしれません。“当たれば大金”みたいのは、全然興味ないです」。
――トランプとかゲームで熱くなったりはします?
「ババ抜きやUNOは楽しいので好きですけど、うまくはないです。人をダマすようなのが苦手で、自分の手を読まれたり、出す手の順番が悪かったり、数字じゃない記号系のカードを残しちゃったりします」。
――去年は学園ドラマで先生役もありましたが、まだ今回のような高校生役が多いですよね。自分ではそっちのほうがハマる感じですか?
「美波ちゃんが17歳なので、そろそろ同じ制服を着て並ぶのはキツイかな(笑)。みんな『大丈夫だよ』と言ってくれましたけど『ホントか?』という感じです。自分の気持ち的にはちょっと辛くなってきました(笑)。でも役として高校生をやらせていただくのは、まだ大丈夫かと思います」。
――芽亜里はツインテールで。
「岡本夏美ちゃんに『リアルな中高生でも、そんな高いツインテールはしないよ』と言われて、グサッとなりました(笑)。『仕事だからやってるんだよ!』と言いたいです(笑)」。
――実際には高校時代と変わったことは、当然いろいろあるでしょうけど。
「洋服の趣味はかなり変わったと思います。昔は古着が好きだったんですよ。もちろん今も好きですけど、すべて古着ではなくなりました。少しずつ、いろいろ良いものを着るようになってきました」。
――遊びに行く場所は変わりました?
「もともと遊びに行かなくてインドア派なので、そこは変わってないと思います」。
――今や森川さんは若手女優屈指の演技派と言われるようになりましたが、ライバルだと思ってる人はいますか?
「いないですね。同世代がいっぱいいる感じはしますけど、それぞれ個々で戦っている気がして、ライバルみたいに思うことは全然ないです」。
――じゃあ、今年もマイペースで?
「あまり『こうしたい』というのはないです。今まで通り、とにかく目の前にあるお仕事を一生懸命頑張っていきたいです」。
――仕事以外で興味を惹かれていることはあります?
「何となく海外には行きたいです。『ベルギーワッフルを食べたい』とずーっと言い続けているので(笑)」。
森川葵(もりかわ・あおい)
生年月日:1995年6月17日(22歳)
出身地:愛知県
血液型:不明
【CHECK IT】
2010年に「Seventeen」(集英社)の専属モデルとしてデビュー。2012年に映画「LOVEToRAIN」で女優デビュー。主な出演作は映画「渇き。」、「おんなのこきらい」、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、「恋と嘘」、ドラマ「ごめんね青春!」(TBS系)、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)など。ドラマ「賭ケグルイ」(MBS/日曜24:50~、TBS/火曜25:28~)、「明日の君がもっと好き」(テレビ朝日系/土曜23:05~)に出演中。映画「嘘八百」が公開中。「リバーズ・エッジ」が2月16日(金)から、「OVER DRIVE」が6月1日(金)から公開。
詳しい情報は公式HP
「賭ケグルイ」
詳しい情報は公式HP
(c)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・ドラマ「賭ケグルイ」製作委員会・MBS